茶の湯=Performance Art × Zen × Installation × Japanese Food
世界の多くの人が熱狂するサッカー。でも、何がサッカーを熱狂させるかというと、なかなか答えられないはず。答えられたとしても、それは人によってさまざま。
サッカーのように多くの人に知られているスポーツでさえそんな感じであれば、茶の湯(「茶道」いろいろ呼び名がありますが、ここでは「茶の湯」で統一します)なんてなおさら。「何が面白いの?」と聞かれても答えに困ります。
それでも、今から400年以上前に、茶の湯の体系が出来上がってから、一部の人々に熱狂的に支持されて今に至っています。
「茶の湯とは何か?」というテーマは、様々な人によって議論されています。
例えば、哲学者 谷川徹三氏は著書「茶の美学」の中で、茶の湯は、
「芸術的なもの」
「社交的なもの」
「儀礼的なもの」
「修行的なもの」
の4つのファクターから構成されていると分析しています。
冒頭のサッカーのように、答えがあるわけでもありません。でも、
「茶の湯 = Performance Art × Zen × Installation × Japanese Food」
が私なりの答えです。
Performance Art(パフォーマンスアート):
Performance Artとは、芸術家自身の身体が作品を構成し、作品のテーマになる芸術であると定義されています。
また、「時間」「場所」「芸術家の身体」「芸術家と観客との関係」と、四つの基本的な要素を含むすべての状態において成立します。
1杯のお茶碗を中心に考えると、茶室(場所)があって、そこで亭主(芸術家の身体)はお茶を点て(時間)、客との間に一座建立を目指す(芸術家と観客との関係)、まさしくPerformance Artです。
Zen(禅):
Zenとは、座禅をして、心を一事に集中して余念がない、もしくは、一心不乱に物事をする境地に入り、悟りを開く宗教です。
不立文字(ふりゅうもんじ)と言って、言葉にすると解釈が変わってくる恐れがあると考えられたため、キリスト教の「聖書」のようなものはなく、したがって上記も正確な定義ではありません(文字では正確に定義できない)。私なりの解釈です。
茶の湯は、この禅とともに発達し、禅の基本原理を取り入れており、一体とみなす人もいます。
Installation(インスタレーション):
Installationとは、作家の意向に沿って空間を変化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術です。空間全体が作品であるため、鑑賞者は一点一点の作品を「鑑賞」するというより、作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することになります。
茶室はもちろんのこと、取りそろえる道具組全て亭主が選び抜き、客は空間全体を体験することになります。
Japanese Food(懐石料理・和菓子・茶):
Japanese Foodとは、ここでは、懐石料理、和菓子、そしてお茶を意味します。
上記に比較して、分かりやすい楽しみのポイントかもしれません。